詩人:中村真生子
慌てて隠されたのか放棄されたのか山中に無造作に埋められていた加茂岩倉の39個の銅鐸。再現された土中の様子に想起されるのは一つの終焉。森の緑と木漏れ日の輝きのごとき青銅器を放ち土の色をした鉄器を手に大地を耕す生活の始まり。かくして人は森を出て今へと続く暮らしを始めた。鎮守の森に在りし日の想いを重ねながら…。終わりなきもの初めなし。季節は巡り、人も巡る。いつの時代も大きなものに導かれながら…。 加茂岩倉遺跡:島根県雲南市加茂町岩倉