詩人:中村真生子
10月最後の日の夕方。
玄関のチャイムが鳴り
インターホンを通して返事をすれど
返事がない。
誰かなと扉を開けると
6人ほどの近所の子ども。
「お菓子をくれないと、いたずらするぞ」と
例のセリフ。
ああ、そういえば今日はハロウィン。
すでに何軒か回ったらしく
たくさんのお菓子を持っていた。
あらあらと思い
ちょうどあった
小袋入りのお菓子を6つ渡すと
みんなで分けて
おとなしく退散してくれた。
去年までは訪ねてこなかった
小さな魔女やお化けたち。
田舎町の町はずれにある
小さな我が家さえも
遠い国からやってきた魔女たちに
ついに見つけられてしまった。