詩人:中村真生子
桝水高原を左に折れトンネルを抜ける。一の沢、二の沢、三の沢…沢を抜けるごとに深まりゆくブナの林。白とグレイの幹に黄金色の葉…。山頂の冬と麓の間に昼と夜の間のような黄金色の残照。美しいという言葉と懐かしいという言葉が二重螺旋となって湧き上がる。遠い昔こんな森でこんなふうに森を見ていた。そんな想いに翻訳されて…。