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[124169] リアリティ

詩人:soul

何時間か前に
手にしたはずの幾らかのそれは
見知らぬ太陽が顔を出す頃にはもう
思い出と呼ばれていた

何もかもが変わった世界は
今日もまるで何も無かった様子で
時間が進んでいる

ふと
テレビの画面を見ると
知らない国で死んでいく人達のニュースを
無表情に淡々と手短に伝えている
チャンネルを変えると
笑いながら誰かのスキャンダルを流していた
その温度差が妙に滑稽で
思わず笑ってしまう

昼下がり
街中では何やら騒がしい様子で
人だかりの中心を見ると
見たこともない人が
世界平和と掲げて
「今こそ闘うべきだ」
と大声を張り上げている
何の疑問もない顔で引き込まれる人
何も聞いていない人
祈る様に電話のボタンを押す人
皆同じように見えるのは気のせいだろうか

思考を止めれば人も動物も変わりはないと
誰かが言っていたのを思い出す
不思議な光景だった

今日も目にした
幾らかの現実も
静寂が窓から夜を連れて来る頃
曖昧に滲んで
見知らぬ太陽が顔を出す頃にはすべてが
思い出に変わるだろう

まるでいつまで経っても覚めない夢の様
ただ
いずれは死んでいく
それだけは確かだ

2008/04/06 (Sun)
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