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詩人:望月 ゆき
たとえば
わたしが沈むとき
くるくるとつむじをなでる
てのひら
がほしいのです
たとえば
わたしがつまづくとき
ついとおでこを押える
てのひら
がほしいのです
たとえば
わたしが凍るとき
じわりじわりと頬をとかす
てのひら
がほしいのです
たとえば
わたしが哀しいあやまちをおかすとき
鼻先ちかくつきだしてとめる
てのひら
がほしいのです
たとえば
わたしがてのひらに
すべてをたくす
と言ったなら
ひどくきびしい横顔で
なみだをながし
さよなら
と
告げる
あなたのてのひらを
掴むてのひら
がほしいのです