詩人:剛田奇作
はじめ、なんとなくふわりと入った
いやなんとなく?
違う すべては
私自身の「意思」だ
そして 今
果てしないトンネルを歩んでいる
どれほどの時が流れ、どれほど進んだのか、わからない
あの時引き返していればと、幾度となく思う
今となっては振り返る事すら恐ろしい
ある日事件が起きた
トンネルの闇の中に
老人がいた
私は話しかけようと口を開きかけたが
人に会えた懐かしさに胸を打たれ、たたずむしかできなかった
しばらくして老人は、言った
「お前の知りたい質問に、一つだけ答えよう」
…………トンネルに出口はあるか?
あとどれくらいで終わるのか?
あなたは何者?
トンネルの向こうはどうなっている?
疑問が山のように溢れた
私はかなり長い時間考えていた
そして究極的に尋ねたのは、トンネルの長さでもなく、その向こうでもなく、いつ抜けられるかでもなかった
「このトンネルの意味は?」
老人は、初めてその顔を上げ私を見た
「このトンネルは、お前自身だ」
老人は答えた
老人の瞳は微笑んでいるようにも、泣いているようにも見えた
もし自分自身に意味はないと思えばトンネルにも…
希望とも絶望ともつかない
何か究極的な感情が私を満たしていった