詩人:剛田奇作
死んでしまうことは当人にとって、
全て終わってしまうことだ
そして残された者にとって、
恐ろしく険しく厳粛な旅の幕開けだ
死の本当の意味は生き残された人々にのしかかる
彼らの世界に天変地異をおこし
時間を止め
心を乱し
荒れ狂わせ
悲しみにうち震わせ
自責の念をも背負わせる
それでも彼らは傷を引っ提げたまま
何十年と生きて歩かねばならない
仕事をして
ご飯を食べ
家族を支え
眠って、起きる
容赦なく、時間も義務も待ってはくれない
死者は休めるが生者は休めない
死、生、命
すべて自分の中にあるようで
本当は他人の中にこそ存在するのかも知れない