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詩人:剛田奇作
私が私でいられるのはこの恐怖があるから
今のうちに綴っておこう
正常な私がいる間に
現実に発狂してしまうのは
夢のようなことだ
今まで必死に積み上げてきたお粗末な積木がガラガラと崩れた
正常な私もいて
狂気の私もいて
二人が同時にいた事が現実とは信じがたくて
いっそ正常でなくなれば楽になれるのに
なんて思う
恥ずかしい、なんていっちょ前の大人びた感覚だってまだある
私はきっと、死なない
しかし
私の人間性はいつか死んでしまうかもしれない
私の中の詩人も
でも、それもまた必然の別れ なのかも知れない
完全に狂ってしまっても
私はその醜態を世界にさらすことだってできる
来るなら来い
お前なんかに殺されてたまるか