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[1896] 恵まれた美しき人へ

詩人:soRa

繰り返される事の無い夜の街のノイズは
いつも新しいから飽きることが無い

ほら今夜も誰かの悲鳴が聞こえているよ

そんな時降りしきる光の中で誰もが脅えるんだ

そう
でもそれはその悲鳴にではなく
この街の無情さに恐怖しているんだね

僕はと言ったら相変わらずで
ゼブラの路上の真ん中で
それぞれの身勝手な思いをいちいち考えてみたり
すれ違う人ごみの
そのひとりひとりの顔を出来るだけ覚えてみたりと
意味も無く忙しい時間を過ごしている

それが結構大変でね
だってね
信号が赤に変わると
走って戻らなきゃいけないからね
誰にもぶつからないように
地下鉄の入り口の所まで戻ってくるんだよ
運よく無事にたどり着けても
地下鉄から出てくる人とぶつかっちまうから
最後まで気が抜けないんだ

これでもいろいろ考えてるんだからさ
馬鹿呼ばわりするのはよしてよね

さあそろそろ君に逢いに行こうかな

また今日も空に少し近づいた
高層ビルの工事現場を見上げながら

公園通りの教会で祈りを捧げたそのあとで

2003/05/22 (Thu)
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