詩人:ジャン
墓石にとまった蛍は言った
なぜあなたはここにいるの?
彼は答えた
此処に眠る女を殺したから
空に傷口ができて女の血が降ってきた
地下に眠る女の霊が言った
なぜ私は死んでるの?
彼は答えた
君の膣から臓腑が流れ出たから
空の傷口から女の身体が堕ちてきた
女の身体は蛍を殺して言った
あなたと私は同じ闇の中
彼は叫んだ
僕は君に呪われたからとても苦しいよ
彼らを覗いていた月は涙を流した
女の名が刻まれた墓石が言った
彼女をもう一度殺せ
彼は叫んだ
何度でも殺してやりたいよ
女は彼に臓腑を差し出し吐血した
別の蛍が墓石に言った
おかしな夫婦もいるもんだ
彼は言った
これは孤独なお月様の夢なんだ
月が地平に沈むと彼らは消えた