詩人:長月
もみじが一葉 母から ちぎれたちっちゃな手のひら うら おもて時に 旋回しながらゆっくり 落ちたこんな小糠雨の日であったから踏みしだかれて 泥にまみれた手のひらが数々 横たわる中へああ あの枝は 悲しかろうぼくは 今しがた地についたその子を拾い上げた風に揺られて 枝がほうとため息をついた