詩人:鈴砂
野原の向こう側で君は温もりを呼んでいる今はまだ冷たいだけの風が暖かい指先で優しく頬をくすぐりだすまで君はそこで待つつもりでいる君だけが気早にコートを脱ぎ捨てて気長に地べたにぺたりと座り遠くを見つめて待ち続けるまだまだ彼は来ないだろうその事を君は既に知っているそれを知りつつもなおなかなか姿を見せようとしない彼が君には何だかじれったく感じられただ待っている事も限界に達し早く来いそう大声で叫びつつはたはたと君は手招きをしてみたりする