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[33764] Frends

詩人:松子

ある日、僕は細い路地裏に、「フレンズ」って店があることを知った。

「友達にお困りの方はお試しください」

店の看板にはそう書いてある。


てんで友達のできない僕は、その扉を開けた。

金と引き換えに僕は友達を買った。
去り際、店主の老婆は僕にこう言った。

「その子を愛してやって」



初めての友達に僕は戸惑った。
「僕は君を裏切らない」
それが彼の口癖だった。


僕はそれに答えられなかった。
彼を愛さなかった。



彼は自殺した。


僕は泣いてはいなかった。
泣けなかったし、泣こうともしなかった。



数年後、僕はふとあの路地裏を通った。

どうやら店は無くなったようだが、「フレンズ」の看板だけがそこにあった。

そして僕はあることに気づいた。



そこに愛が無かったことだ。

2005/05/06 (Fri)
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