詩人:安曇
ライダーキーック
真剣に、あなたは
どれだけ
仮面ライダーが格好いいか私に説明してくれる。
凄いね、なんて空返事
あなたには通用しなくて
何回も、飽きずに話す
しかも動作付き。
暑い日には、汗をかきながら
寒い日には、小刻みに震えながら
毎回、真剣に
私に説明してくれた。
別に、頼んでないけど
あなたが、あまりに真剣だから
私は何にも言えなくて
ただ、聞いていた。
『お前には、
俺の好きなものを
好きになってもらいたいんだ』
いつも、最後に言う言葉を聞きたいから
ただ、聞いていた。
今だに、
仮面ライダーの格好よさはわからないけど
けど、
案外、好きになっている。