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詩人:遥 カズナ
生活の為だとしても
仕事で指の爪が黒く
薄汚れているのは
快くはない
たまに
会社の若い女性の事務員が
どこかからの差入れを
皆に配るのだが
深爪に切り込まれた爪先に
それでも真っ黒い
爪垢のような汚れが染み付いていて
指先を差し出して
受け取る事が
どうにも恥ずかしい
なので、いつも
「ありがとうございます。いりません」
と断る
嫁には受け取らない方が失礼だと言われ
るが
嫌なものは嫌だ
いろんな思いが頭をよぎる
馬鹿が治る薬が開発されたなら
真っ先に被検者に
志願したい
蔑まれるのは
嫌だ