詩人:望月 ゆき
ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる
雲をつんざく、青
無尽に動く、光
まっすぐ、
ひたすらまっすぐな、光
それから逃れるため
走った
(まっすぐなものは、にがてなのです)
走って走って
たどりついた
いびつな三角形の
サーカス小屋
小屋は光を失くし
ゾウも
ゾウつかいも
夜に溶ける
投げやりな、点滅
オレンジの
オレンジの
サーカス、の電光文字
と
両脇に、ピエロの顔
(そのとき、もはやピエロはわたしで
わたしはピエロそのものだった)
ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる
そう言ったわたしの上に
光さえ降らせないまま
(連れ去ってしまった、連れ去ってしまった)
あなたは
かみさままでも、連れ去ってしまった