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望月 ゆきの部屋


[309] 夜の欄干
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる

雲をつんざく、青
無尽に動く、光
まっすぐ、
ひたすらまっすぐな、光
それから逃れるため
走った

(まっすぐなものは、にがてなのです)

走って走って
たどりついた
いびつな三角形の
サーカス小屋
小屋は光を失くし
ゾウも
ゾウつかいも
夜に溶ける
投げやりな、点滅
オレンジの
オレンジの
サーカス、の電光文字

両脇に、ピエロの顔

(そのとき、もはやピエロはわたしで
    わたしはピエロそのものだった)

ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる

そう言ったわたしの上に
光さえ降らせないまま

(連れ去ってしまった、連れ去ってしまった)

あなたは
かみさままでも、連れ去ってしまった

2004/12/30 (Thu)

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