詩人:獏
十月の日差しは柔らかで臆病な小さな魂も樹皮の覆いからおずおずと顔を覗かせるもういいよもういいよゆったりと流れる風透明な小さな羽が精一杯羽ばたいて凍る季節を呼んでいるつかの間の柔らかさ卵を抱くのはもうすぐ銀色に光る水面から虹色の蒸気が揺らぐあたたかいねあたたかいね幽かに聞こえる歓喜の声消えてしまうことなど忘れている儚いことなど知らなくていい知らなくていい