詩人:あとりえ
薄桃の急須は幸福な食卓を
夢見ていた
しかし薄桃急須は
いつまでも棚の中
あの青い急須は食卓に置かれ 使われていて..
そう薄桃の急須は感じた
一度だけ薄桃の急須は
誰かが流行り病の際
小さなお盆に乗せ使われた
やっぱり湯漏れするわね
そう聞いて棚の中へ返された
薄桃の急須は思い出した
ずっと昔
床に落ちてひびが入ったこと
ある季節 薄桃の急須は
庭に置かれ 山から抜かれて来た
植物を飾る鉢になった
嬉しかった幸福だった
ひびがパリンと割れてしまうその時まで
2011/02/10 (Thu)