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[165327] 在る人生

詩人:あとりえ


薄桃の急須は幸福な食卓を

夢見ていた


しかし薄桃急須は


いつまでも棚の中


あの青い急須は食卓に置かれ 使われていて..


そう薄桃の急須は感じた

一度だけ薄桃の急須は


誰かが流行り病の際


小さなお盆に乗せ使われた

やっぱり湯漏れするわね


そう聞いて棚の中へ返された


薄桃の急須は思い出した

ずっと昔
床に落ちてひびが入ったこと


ある季節 薄桃の急須は


庭に置かれ 山から抜かれて来た


植物を飾る鉢になった


嬉しかった幸福だった


ひびがパリンと割れてしまうその時まで


2011/02/10 (Thu)
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