詩人:望月 ゆき
天窓からのながめが
この世のすべてだとしたら
世界はキャラメルだ。
でこもぼこもなく
のっぺらぼうにつづく地面には
ただただ
マス目だけがのっかっていて
人々は暇をもてあますとそこで
チェスのこまになったり
うらおもてを黒白にぬりたくって
オセロをしたりして遊ぶ
ときには傷つけあったりもする
勝っても負けても
マス目から出ることはできない
世界はかぎりなく甘ったるくて
どこか居心地がいい
甘い甘い地面にはいつくばって
がっしりつかまったまま
甘い甘いにおいにつつまれながら
生きてしまうということは
とてつもなくあやういだろうな
とか。
天窓のない部屋でキャラメルをなめながら
考えたこと。