詩人:八朔
此処は、暗く、暗く。
言葉も、体も、ない。
水面に浮く、草…
ひとり、楽です。
重力、も空気もがない。
深海にただ、漂う。
真っ白な海にあなたが飛び込む。
その衝撃で
波が、ゆ ら り、とゆれる。
干からびていくことは
とても楽で。
渇く辛さなんて、
考えたことはなくて。
あなたの声が、
言葉が、
体温が私を呼んでいる。
それに抗うことはできず。
零れ落ちるあなたは、
綺麗で、とても、哀しくて。
だから私が、
もう一度、干からびてもいいから。
どうか、あなただけは、
どうか、渇いていかないようにと。
祈りながら、
静かに、雨を降らすのです。
それしかできないという、
歎きは、
あなたには、知られないよう。
ひっそりと。