詩人:在音
ワレモコウの紅は血の色
アスピリンの白は僕にとっては狂気
不機嫌な青空はハルシオンブルー
ゼラニウムのピンクは胎内回帰願望の色
新緑は安らぎではなく足音を殺す感染の色
ブナ林が隠している紫
ヤドリギにはかごめかごめの朱
祖父の最後の時の瞳の色は銀色だった
そして
貴方が逝ってしまう瞬間に感じたのは鈍色
僕の頬に流れるは灰桜の水
月白色にかわってゆく僕の記憶
全ては過ぎていく
そう 嬉しいコトも悲しいコトも
囁きながら降る雪よりも静かに
淡々と
自分の泣き声で目が覚めた夜
何故泣いているのだろうと....
貴方ならそんな時は何時も
僕の傍にいてくれたのに
そして僕は
貴方の茶色の瞳を見つめながら
ここが何処なのかを 感じていたんだ