詩人:安曇
もう、二度と開けることのない白いドア
何度も自分に言い聞かせていたけれど
いざ、最後となると
心が痛い。
白いドアを開けると、いつも貴方の笑顔いた。
嬉しい時も、悲しい時も
喧嘩して腹を立てている時も
それは変わらなくて、貴方の見慣れた笑顔を見ると
私はいつも、体の力が抜けるんだ。
おかえり、が好き。
貴方が言う、おかえりが好きだった。
過ぎた日々は、簡単に思い出と呼ばれてしまうけれど
白いドアを前にして、私は泣いた。
もう、戻ってこない事を
痛いくらいに感じてしまったから。
泣いている私なんか、お構いなしに
白いドアは、バタンと音を立て
何も変わらすに、ただ同じ場所にいる。
誰かが開ける事を心待ちにしながら
白いドアは
ただ、そこにいた。