詩人:遥 カズナ
蝶を捕まえてみて
逃してやると
その羽の
鱗粉が細かに
指先に残っていて
こんなふうに
細やかなものなら
羽ばたいている最中にも
大気に僅かに
振り撒かれているのだろう
ついでに
持っていた地図を
何片にも破いて
破いて破いて
口に入れて食べてみる
味はしない
その後に
人差し指を舐めて
鼻先で匂いを確かめ
そっと宙へとかざすと
ほんの少しだけ
舐めてやっただけなのに
風で乾いていくのが
よくわかる
そう言えば
あれが蝶の
鱗粉の
味だったのか
2022/09/03 (Sat)