詩人:鰐句 蘭丸
標高の高い牧場集落の狭い山道でのクルマの往来
白い四輪駆動の軽自動車に道を譲った
その先の道路の真ん中あたりにウリボーが横たわって痙攣していた
なんでまた…
横たわって痙攣しているウリボーに当たらないようにゆっくりその横を通り過ぎた
この道の先に仕事の予定があり ウリボーのことが気になりながら先を急いだ
仕事を済ませて またウリボーが横たわっている道にクルマを走らせる
ウリボーがまだ道の真ん中にいる
でも今は目を開けたまま動かなくなっていた
俺は前からも後ろからも他にクルマが来ないか確認してウリボーの横にクルマを停めた
ウリボーはやっぱり動かない
俺は道端に落ちていた頑丈そうな木の枝を見つけて その木の枝でウリボーを道端の草むらまで押してあげた
道の真ん中じゃ またクルマに上られてしまう
俺は思い出してた
ウリボーを見つける前に道を譲った四輪駆動の軽自動車を
動物だからか?
飼い主が居ない動物だからあの四輪駆動の軽自動車の奴はウリボーを跳ねてそのままにしたのか?
やり場の無いどうしようもない気持ちが胸と頭の中を支配した
俺はウリボーに「ごめんな」と声に出してつぶやいた
ウリボーを殺した同じ人間の俺がなんか嫌だった
ウリボーを後に 家に居る家族と飼い犬飼い猫のことを思った