詩人:山鳩
君が存在していることで
僕は生きてゆく
たとえ
会うことができなくても
君がこの地で生きていることで
僕もまた生きてゆく
たとえ言葉を交わすことができなくても
九月の雨が僕を生かしている
乾いた地面にしみこんでゆく雨粒
雑草の声が僕を生かしている
雨に濡れた葉っぱの揺らめきとともに
季節がめぐり行くとも
秘めた真実はもうどうでもいい
それはとおく過ぎ去ったしまったこと
儚い想い出にしてしまえばいいだけのこと
ただあのときの涙
その瞬間瞬間の君の想いは
深くこころに刻んで
僕は生きてゆく