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詩人:フィリップ
人のこころを写したものが
あなたの瞳を通して
あなたの中に入ったとき
それは
どんな香りを発するのだろう
言葉を通して
あなたに伝えたものは
記号ではなくて
わたし、じしん
風が花粉を運ぶように
いのちがいのちを紡ぐように
流れる水のような軟らかさと優しさだけが
わたしとあなたの手と手を繋ぐ
生まれ来る世界の為に
また明日、一日分だけ愛を知る者たちの為に
誰かが
何かをささやき
形を変えて
時を越えて
まだ見ぬ他の誰かが言葉の産声を聴いている
そうしていつか
わたしは
あなたのためのうたに生まれ変わる
やがてあるとき
あなたが
誰かのためにそれを口ずさむのかもしれない