詩人:望月 ゆき
あしもとから吸い上げたあしたの記憶が
葉脈をつたって
四肢に達し
やがて、蒸発してゆく
芽生えを待つからだに
クロスする
光合成の日々
涸れているのは喉なんかじゃなく
わたしの中心だった
ヒースの上では
流れ出るものはすべて
潤いとなり
太腿からしたたる
たとえば血液でさえも意味をもつ
ときどき 左の
てのひらにたまった雫のせいで
軸が揺らぐと 夜が
めまいの速度でおそってきて
あしたの記憶ばかりが増えてゆく
そうして また
わたしはそれを吸い上げる
2005/09/02 (Fri)