詩人:与末居
ふってわいた存在が、通りすぎていってしまった。差し上げたピアスの明細の文字が空しく指をなぞる。寝台から見上げた顔は分からないまま、触れられなかった。留め置かれた書籍のなかに挟まれた写真だけが、残された。綴じられないままの文書があちこちに散らばり。こぼれてあふれた器は、拾いきれないまま。