詩人:拓
優しい手がずっと頭を抱いてくれた
全て涙で暗く霞んでよく見えない
目の上を撫でる仕草が過去とダブる
それが誰か
もうわからない
恋人だったのか
母親だったのか
それとも
妄想の人だったのか
ちぎれないでプラプラぶら下がっている
肉を切るような
感触…
勝手に入り込んだ異物を引きずり出す
破けて痛い
あぁわかったよ
俺が間違ってたんだね
隠された期待に気付いてやれなくてごめんよ
最期には背中を押してくれた
感謝してるよ
大丈夫このままなら
誰にもバレない
捕まらない
分かるはずがない
誰も届かない部屋で
殺り遂げよう
一人じゃないよ
永遠に一緒だよ
名前も知らない僕のママ
あまりに簡単だ
振り返るも虚しい程下らない人生だった