詩人:梅宮 蛍
雪解けの水を掬って腕を立てれば手首を通って肘先から垂れた袖の中に生まれた小さな水溜り徐々に滲み出ていずれ無くなる目が覚めるような冷たさとはよく言ったものでそうだ 私は確かに狂うほどに愛していた憎むほどに狂っていたしかし 思い返せば総て馬鹿らしい私は確かに愛していたはずなのだ あれほどの激情でなのに 私は今目が覚めるような冷たさとは よく言ったもので腕を濡らす水が清々しくてどうしてか こんなに切ない