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詩人:右色
狼は東へ去りました
追いかけるかどうか迷っていると
豚の群れが近づいてきました
きっとその後には狼がいるのでしょう
目的という名の狼は西へ去りました
ためらっている内に日は暮れて
夜には墓の下
狼という孤独は南へ去りました
追いかけることにしましたが
とりあえず明日から
いつまで経っても「明日」は来ませんでした
夢そのものである狼は北へ去りました
たくさんのものを犠牲にして
追い続け
遂には雪山の頂で狼を追い抜き
狼となりました
もはや進むべき方角は分かりません
しかし
飢えと誇りを忘れぬ限り
狼なんです
喩え、追うべきものが無くとも
走りつづけます
ずっと
ずっとずっと