詩人:スヌスムムリク
誰か、大切な人が亡くなったときに、
「世界から色が消えた」
とか、
「モノクロの世界。すべてが色褪せて見えた」
という表現をよくきくけれど、
私の場合は違っていた。
真逆だった。
すべてが、
いつも以上に、視界に入ってくる。
鮮やかに、賑やかに見えてくる。
それは、まぶしいくらいに輝いていて、
堂々としていて、
逃げ出してしまいたくなくらい、
現実だった。
それでも逃げ場はなくて、
隠れ家もなくて、
走り出した雨の中、
私は、目を閉じてしまいそうになる。
鮮やかすぎる、
美しすぎる、
残酷すぎるこの世界から、逃げ出すために。
いつだか目を開けたとき、視界がぼんやりとしていた。
変わらない世界がそこに見えたけど、
やっぱりちょっとだけ違う世界がそこにあった。
目を開いた私には、もう、
あの、キラキラした、輝いた世界は見えなかった。
もう、一生見ることはないんだろうなぁ、と思った。
不思議だね。
何なんだろう、この気持ち。
淡々とすぎる毎日の中、私はときに、ふと思う。
「生きるって、何なのなのだろう」
って。
きっと、その答えを出すことは、
誰に