詩人:トケルネコ
十月の宵の口は 斜めに奔る箒星に溢れそう見つめあう恋人たちのその影は ところどころに隙間がある雑念と妄念は 石畳に響く足音に吸い込まれ、ただ…夢見る詩人のレトリックに奪われるのみ嗚呼、星の歳月よ彼方のレールを曳いてきておくれその型崩れした深紅のコートを纏い夜の帳を引くように神無の冷たい月は 斜めに翻る山の稜線に隠れそう言葉に架かる自分たちの誇りを跨いで今日も一翼の羽を担う今日も一翼の羽を担う零れだした火の粉に 灰だけは浮かび上がりし 幻燈の謡