詩人:さみだれ
彼女は色を変えて
悲しいけど涙を降らせて
長い長い冬を
ただただ手を温めて
終わるときを待っていた
彼女は時折影を指して
"君は楽しそうだね"
手を広げて
抱き締めてあげたいけど
"触れられないよ"
彼女は毎日のように
決まった道をなぞることしかできない
生まれたときからそうだったなら
生まれたのはどこなのだろう
人知れずそこにあって
消えていくだけなの?
彼女は熱を帯びて
楽しいけど手を振って
裏返しにした気持ちの奥
ただただ胸を押さえて
再び会うときを待っていた
この切なさを
人は拾えるだろうか
この美しさを
讃えられるだろうか