詩人:タンバリン
ほら、もうすぐ潮が満ちるよ。
後片付けの日が来るんだ。
だから早く仕度をして、
その小屋から出ておいで。
僕の小屋には、もうすぐ波がやって来る。誰の小屋にも来るけど、時期って決まってないから。
一週間で来たり、何年も来なかったりするんだ。気付かなかったり、大きすぎることもある。
ショーンおじさんは片腕がない。ずっと昔の「後片付けの日」に、小屋を離れなかったから。
潮が満ちたのには気付いてた。だけれど、用事がある気がしたんだ。
小屋を守ろうとしても駄目なんだって。いつもきっかけが、自分自身にあるから。
咲いたばかりのタンポポが
もう、飛び立つ準備をしてる。
満ちた岸辺が、
一度に浜辺に変わっていく。
なんだかざわざわしてきたね。こんどの波は、大きそうだね。
チャッピー、右手を噛まないで。僕はずっとここにいる。
おじさんはきっとね、体を失ったんだよ。