詩人:中村真生子
移ろい
文具店でうろうろしていると
レター用品が目に入る。
おぼろげに顔が浮かんで
ミモザの絵柄の葉書を手に取る。
またおぼろげに顔が浮かんで
桜の絵柄の便箋を手に取る。
クリスマスの絵柄の葉書と
雪景色の絵柄の便箋も
冬の初めに
そんなふうに買ったのだろう。
おぼろげに顔を
思い浮かべながら…。
届けられた
冬模様の便りの上に
時間が静かに降り積もる。
ミモザの絵柄の葉書と
桜の絵柄の便箋を手に取り
少しずつ冬がおぼろげになり
少しずつ春になっていく…。
2012/03/09 (Fri)