詩人:さみだれ
鼓動が空の真ん中で
人を見据えて動かない
日常がコップに半分だけ
それだけじゃ動けない
通りすぎる人は
悪魔のふりして強がるさ
今に地の底から迎えの手が伸びるというのに
愛情に背を向けて
誇り高い道化師を避けたよ
心臓は海の底で
いけすかないタコと踊っている
光明が色や形を変え
私たちにはあるはずなのに
あるはずなのに
フラスコに入れて色を変える
金槌で叩いて形を変える
ひぐらしの鳴き声を嫌ったね
年頃の君にはみっともない光景
部屋という箱庭を
あなたは世界だなんて
気づかぬうちに掘り出して
埋めてを繰り返したものは何
黄昏を腕の中に抱いて
人は涙を流すことに快感を覚える
その空一面に広がる鼓動
私は見据えよう
心静かに見据えよう