詩人:安曇
トゲトゲまとって私は歩く。
ぶつかる人にトゲトゲ刺さっても
ふん、と
トゲトゲまとったまんま
ぷんぷん、トゲトゲ
ぷんぷん、トゲトゲ
誰もがみんな避けて行くのに
あの子だけは近くにいてさ
何回トゲトゲに刺さっていても
いつもニコニコ笑ってくれた。
それでも、私はトゲトゲをまとう
あの子もいつかいなくなる、
そう思いながら
トゲトゲに弱さを隠して、
トゲトゲに涙を隠して
ぷんぷん、トゲトゲ
ぷんぷん、トゲトゲ
それでもあの子は変わらない。
何度も、何度も繰り返して
あの子が私にとって大切な人になって
初めてトゲトゲが悲しく感じた。
ごめんね、と
ありがとう、を繰り返すと
知らない間にトゲトゲは消えていた。
あの子は相変わらずニコニコ
私もつられてニコニコ
いつの間にか、私の大切は増えていく。