詩人:高級スプーン似
タンスが笑ってる
カーテンが喜んでいる
ドアノブが楽しそう
この部屋で
感情が無いのは
ぼくだけだ
時計が狂ってる
炊飯器が喚いている
クローゼットが泣きだした
渦巻く喜怒哀楽
部屋の隅々に散らかって
吐き出されるそれら
ふと視線を感じて
振り向くと
目が合った
鏡が無表情に
ぼくを見ている
この部屋で
感情が無いのは
ぼくだけだと思っていた
意地悪なパソコンに
呑気な枕
嘲るテレビに
窓は優しく微笑んで
退屈そうな充電器
心が揺れた
互いに影響し合って
色を変えていく部屋の中
鏡は笑った