詩人:しゅんすけ
街の灯が点々と流れ
ただの暗闇に帰る頃
僕を夢から引き剥がす為に走る車の窓からは
さっきまでは気付かなかった
夏のにおいがたちのぼる
早死にした病弱な詩人なら
こんな日は妻に
一輪の花でも買って帰るのだろうが
なんせ僕の女房は花なんか愛でる趣味などない
隣で憮然とハンドルをきる彼女に
眠くないかとこえを掛けるのがやっとで
今日感じたことさえ伝えられない
自己満足なことばならいくらでもたれ流すのに
愛する人を今すぐ笑顔にする言葉は出てこない
夜の終わりはこんなにも呆気ない
こんなにもやるせない
せめて彼女の笑顔が見られる瞬間までは
朝日が昇らない事を祈ろう