詩人:ふぉれすと
潮風香るその場所へ
戒めの傷が僕を誘う
蒼い地平線と砂浜の白さが
妙に懐かしく感じられた
掠れた記憶に身を任せて
高台に登った僕を待っていたのは
脳裏に浮かぶ昔の僕の姿と
白く美しい無機質な建物
あの時の僕はまだ
この中で眠っているだろう
無理して立ち上がらなくていいから
そこでそっと眠ってくれよな
波打ち際に身を寄せて
雲一つ無い快晴の空と共に
己の存在意義を問い合ってみる
その源である過去を回想しながら
夕日がワイシャツを照らす頃には
心の片隅が浄化されていた
僕の中の薄汚れた一部が
東の空の入道雲になったのかな
“サヨナラ”は悲しい響きだけど
もうそろそろ告げなくてはならない
傷が毎年ここへ僕を誘ってくれるから
涙は次まで大事に取っとくよ