詩人:さみだれ
商店街に住んでいた友達は
小学生の頃
隣町へ引っ越した
四人で遊んだ児童館は
今も相変わらずだっていうのに
学校へ向かう途中にある橋
そこから見える何でもない景色が好きだった
水面を並んで泳ぐ鳥や
遠くに見える山や
船がぷかぷか浮いている岸
何もかもが当たり前で
手に届くようで届かなかった
世界はあまりにも不鮮明で
アナログな上に歩けば足が痛くて
そう
毎日帰るのが嫌だった
いつまでだって遊んでいたかった
世界はあまりにも刺々しくて
無機質な上にほんのり温かくて
そう
毎日帰るんだ
いつまでも忘れないと心に決めて
ずっと帰るんだ