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詩人:さみだれ
時計仕掛けの男の子は
朝焼けの頃眠りについて
ぜんまい仕掛けの女の子は
伝う涙に錆び付いて
動かなくなりました
天よりのびる光の手が
大地に根を張る季節にも
電池の切れた男の子は
目を覚ますことはありません
海より流れる白い風が
居場所を作れと言うものの
歯車の止まった女の子が
家に帰ることはありません
人が三回生まれ変わろうと
魂はないと決められた彼らが
死ぬことはありません
人がひとりもいなくなっても
魂はないと知らされた彼らが
生きることはありません
時計仕掛けの男の子は
朝焼けを知らず
ぜんまい仕掛けの女の子の
涙は乾かぬままに
宇宙が果てまで膨らみきっても
魂はないと信じ込んだ彼らが
目を覚ますことはありません