詩人:けむり
かけがえのないひとに愛を与え、
また愛してもらうこと。
それ以上に優先すべきことなどあるものか。
なぜか、
悲しいくらい分かり合えない。
溶け合おうとする二つの心は一色にはまとまらない。
それぞれの過去を歩んできたし、
観る未来像も完全なる一致じゃあない。
それを矯正しようとすれば想いが冷える。
だからさ。
忙しさに弱ったり、
選択に迷ったりするとき、
まず君の存在を尊重する。
君への想いを優先する。
君を失いたくなどまるでないのに、
何者かがつけ込むスキは常にあるから。
せわしない日々の中で危機感を保つこと。
それが愛を持続させる。
そう信じている。
だから君を手放さない。
完全な融合などありえないとわかっているから、
なにをさしおいても君を先んじるんだ。
でも、ちょいと実体験の中でわかっている。
求め続けるから求め続けられたいと思うこと、
それが重荷となって支えてくれる想いすら、
押し潰してしまうことがあること。
とても悲しいことなのだけれど。
笑顔を求める計画性が笑顔をゆがませ、
優しさを欲する相対性が優しさを義務化させる。
いつも愛を深めようと考えている。
けれどそれが君のぼくとの恋愛のスタンスを、
くずすほど息苦しくさせるなら、
ぜひ窒息しちまう前に相談してほしい。
おれとしてはさ、どうしたって失いたくないものを、
失うわけにはいかないからさ。