詩人:雪 刀寿
はしゃぎ過ぎた劇場のように、花びらが舞い散ってゆく
海の光が おどる町
夏のエンデイングは、すぐそこで、
帰れない夕方の恋にうずもれ
バイバイ
手を振る
あつけが去り、秋の気配が肩をつつんだ
君も 大人の風を吹かせ、ゆっくり胸を揺らす
戸惑う いじらしさ
熱の蜜、あま・にがい、ふるえが響いた
のどもとの、ゴックン
ほのかに とけた、くちの中
微笑みかけて、しぶい顔したよ
これでも、さびしさを、ぐっと耐えてるんだよ
声がひろがり、うれしさが揺らめき
また来年の雲間に会おう
きっと
もう、夏、懐かしく、
泣く、足元の靴、さびしげ
シューズ跡、ぽとり、ため息に色褪せ、しぼり汗、落ちた
もう前のように
きばって歩かない
そっとで、いいから