詩人:EASY
アメリカの
田舎町の工場で働く青年は
地元の野球チームの
ペナントレースの行方に
一喜一憂している
おそらくは
一生をそこで過ごすであろう青年は
弱い地元の野球チームのせいで
一生を一喜より
一憂ばかりで過ごすだろう
それなりの人生を
一憂ばかりで過ごすだろう
それでも春になれば
今年は行けると意気込んで
開幕戦を見に行って
夏前までは前向きだ
一生に
一度くらいはあるかも知れない
優勝は
どんなに素晴らしいのだろう
青年は大人になって
息子と二人で見に行った
開幕戦もまた負けて
昔の親父みたいに
自分の息子と
キャッチボールをしている
畑の向こうに広がった
地平線に夕日が落ちる
その光りに照らされた
キャッチボールのシルエット
美しい人生が
ほんのひととき
夕日に照らされた