詩人:猫の影
夜に目が覚めた嫌な夢だった訳ではない先週知り合った女から手紙が届いたどうしても逢いたいそうだどうしても逢いたいなら、どうにかしてあえばいいのに他人まかせにしていることに、当人は気づいちゃいない風が窓のガラスを叩いて勝手気ままに部屋を出入りする塞ぎたくてもふさげない隙間が、そこかしこにあるんだろう強情で、傲慢な、その心目を閉じた世界はあいも変わらず真っ暗だった