詩人:mina
ふわぁっと漂う
懐かしい香り
仕事の帰り道
長い坂道を
愛用の自転車で
駆け下りる
君と一緒に
1回だけ通った
この坂道
なんだかとても
切なく懐かしい
春の少し冷たい
夜風に吹かれて
君が傍に居る
幸せに浸って
高く深い青色の
星が輝く空を見て
住宅街の暖かい
オレンジの灯に見惚ていた
この瞬間が
絵となり
影となり
永遠に消えなければと
君の知らぬ間に
心の中で
そっと祈った
君の居ない今も
その坂道には
君の声と
君の香りが
住み着いていて
あの日に似た
夜空の日には
また私に吹く
やわらかな風となって
想い出させるのです