詩人:さみだれ
まほろばの夜にて
月は映えるがヴェールの奥に
うす濁る光を携え
そは野犬となりて街にのさばる
まほろばの夜とて
風は四肢を切りつけ去り行く
ガラス越しに手を伸ばせど
そは醜いパペット
そは戯謔の極み!
──
寝台に横たわり
夜想にふけるか
色青く
声さざめく
星に願うか
うちゆする
窓辺の花を
口にするのを
恐れた花を
仄かに香る
甘く淑やかに
けれど強やかに
夜想にふけるも
寝るには足りない
声さざめく
星に願うか
うちゆする
窓辺の花よ
清くあれ!
──
まほろばの夜にて
人は陰るが月光のごとし
違う御身の胸のうち
そは光を隠し夜にたゆたう